Windows 11 25H2のファイル履歴でデータは保存されるが、初回コピーが完了せず復元画面を利用できない事例

ファイル履歴が「オン」と表示され、最終コピー日時が更新されていても、復元可能なバックアップが正常に作成されているとは限りません。

万一に備え、最終コピー日時だけでなく、復元画面に最新の履歴が表示され、実際にファイルを復元できることも定期的にご確認ください。本事例が、日頃のバックアップ状態を見直す一助となれば幸いです。

1.はじめに

Windows 11 Pro バージョン25H2の環境で、Windows標準機能の「ファイル履歴」を新しく設定したところ、保存先ドライブにはファイル本体がコピーされるものの、初回処理が正常に完了せず、「個人用ファイルの復元」画面を利用できない状態を確認しました。

本記事は、筆者の環境で実際に確認した現象と、その切り分け作業を記録した事例報告です。

保存先ドライブの故障や容量不足を報告するものではありません。また、すべてのWindows 11環境で同じ現象が発生することや、特定の更新プログラムが単独の原因であることを断定するものではありません。

2.確認した環境

今回、現象を確認した環境は次のとおりです。

  • OS :Windows 11 Pro バージョン25H2
  • OSビルド :26200.9278
  • 更新プログラム :KB5120998
  • PC :自作PC
  • 導入経路 :Windows 10からWindows 11へのアップグレード
  • 保存先 :内蔵NTFSドライブ E:
  • ドライブ暗号化 :BitLockerで保護
  • サービス名 :File History Service(fhsvc)
  • スタートアップ :手動(Manual)

ファイル履歴の保存先として使用したEドライブは、Windowsから正常に認識され、ファイルの読み書きが可能な状態でした。

また、ドライブの空き容量にも問題はありませんでした。

3.発生した現象

3-1.ファイル本体は保存される

ファイル履歴をオンにすると、保存対象となったファイル本体は、次のような構成でEドライブへ保存されました。

E:\FileHistory\(ユーザー名)\(PC名)\Data

このことから、保存先ドライブへの基本的なアクセスと、ファイル本体のコピー処理は行われていることが分かりました。

3-2.メイン画面では完了したように見える

ファイル本体のコピー後、ファイル履歴のメイン画面には最終コピー日時が表示され、操作表示も「今すぐ実行」の待機状態へ戻りました。

画面上だけを見ると、初回のバックアップ処理は正常に終了したように見えました。

3-3.復元画面では初回コピー中と表示される

メイン画面が待機状態へ戻った後、カタログ処理の時間も考慮して約10分待ち、「個人用ファイルの復元」を開きました。

ところが、復元画面には次の趣旨のメッセージが表示され、保存された履歴へアクセスできませんでした

ファイル履歴は初回のファイルコピーを実行しています。

完了するまで、ファイルのコピーにアクセスできません。

メイン画面では最終コピー日時が表示されているにもかかわらず、復元画面では初回処理が完了していないものとして扱われていました。

3-4.復元画面を開くとコピー処理が再開する

復元画面を開いた後、ファイル履歴のメイン画面を再確認すると、待機状態から再びコピー中の表示へ変化しました。

確認した動作は、次のような循環です。

1.ファイルのコピーを開始
        ↓
2.メイン画面では最終コピー日時が表示される
        ↓
3.「今すぐ実行」の待機状態へ戻る
        ↓
4.約10分後に復元画面を開く
        ↓
5.「初回のファイルコピーを実行しています」と表示される
        ↓
6.メイン画面も再びコピー中へ戻る

このため、最終コピー日時が表示されたことだけでは、復元用の履歴が正常に確定したとは判断できない状態でした。

3-5.変更していないファイルも再保存される

次の処理では、内容を変更していないファイルについても、異なる日時が付いたファイルとして再び保存される状態を確認しました。

その結果、保存先のDataフォルダーの使用容量が増加しました。

通常の差分保存として処理されず、初回処理または履歴確定処理が繰り返されている可能性が考えられました

3-6.保存先側のカタログ更新が進まない

保存先側とユーザープロファイル側にある Catalog1.edb を確認したところ、次の違いがありました。

保存先側のCatalog1.edb :約1MBのまま

ユーザープロファイル側 :約11MBまで増加

ユーザープロファイル側ではカタログ情報の作成が進んでいるように見える一方、保存先側のカタログは小さい状態のまま更新が止まっていました。

このことから、ローカル側で作成された構成情報またはカタログ情報が、保存先側へ正常に反映されていない可能性を疑いました。

ただし、このファイルサイズの差だけで原因を特定することはできません。

4.切り分けのために実施した確認

原因を切り分けるため、次の確認と再試験を行いました。

保存先ドライブに関する確認
  • 保存先ドライブの内容を別媒体へ退避
  • 退避したファイル数と容量を照合
  • 保存先EドライブをNTFSで初期化
  • ドライブの健康状態を確認
  • 不良セクターが検出されていないことを確認
  • Windowsから正常に読み書きできることを確認
  • 十分な空き容量があることを確認
ファイル履歴の構成に関する確認
  • ローカル側の既存構成を削除せず、別の場所へ隔離
  • 保存先側の既存ファイル履歴も削除前に退避
  • 過去のファイル履歴構成を引き継がずに再設定
  • 初期化した保存先を使用して完全な新規構成で再試験
  • 既存の履歴を移動または再利用しない設定を選択
バックアップ対象に関する確認
  • 使用中になる可能性があるOutlookデータファイルを除外
  • 大容量の D:\フォルダ名 を一時的に除外
  • Cドライブ側を中心とする比較的小さい構成で初回試験
  • 「今すぐ実行」を繰り返し押さず、1回の処理が終わるまで待機
  • 処理終了表示後、約10分待ってから復元画面を確認
Windowsサービスに関する確認

ファイル履歴サービスについて、次の状態を確認しました。

サービス名 :fhsvc

表示名 :File History Service

スタートアップ種類:Manual

fhsvc は必要に応じて起動するサービスであるため、待機中に停止していることだけを異常とは判断していません。

Windows Searchについても、実行中かつ自動起動であることを確認しました。

システムとログに関する確認
  • SFCによるシステムファイル確認
  • DISMによるWindowsイメージ確認
  • CHKDSKによる保存先ドライブの確認
  • イベントビューアーのFile History関連ログを確認
  • Applicationログ内のESENT関連イベントを確認
  • File HistoryCatalog1fhsvcに一致する内容を検索

イベントビューアーのFile History関連ログおよびApplicationログ内のESENT関連イベントを確認しました。保存先側のCatalog1.edbの破損や書込み失敗など、今回の初回処理未完了を直接説明する明確なエラーは確認できませんでした。

なお、明示的なエラーが記録されていないことは、処理が正常に完了したことを意味するものではありません。

5.完全な新規構成による再試験

2026年8月27日、KB5120998が適用されたOSビルド26200.9278の環境で、次の条件により再試験しました。

  • 保存先EドライブをNTFSで初期化
  • 旧FileHistoryフォルダーを引き継がない
  • ユーザー側の旧構成を引き継がない
  • 大容量の D:\フォルダー名 を除外
  • Outlookデータファイルを除外
  • 保存先の空き容量は十分
  • ドライブ状態は正常
  • 初回処理中に再起動やスリープを行わない
  • 「今すぐ実行」を繰り返し押さない
  • 完了表示後、約10分待ってから復元画面を確認

しかし、完全な新規構成でも同じ現象を再度確認しました。

6.確認結果

今回の試験結果は、次のとおりです。

正常に行われた処理
  • 保存先ドライブはWindowsから正常に認識された
  • 保存先ドライブへファイル本体が書き込まれた
  • ファイル履歴のメイン画面に最終コピー日時が表示された
  • メイン画面はいったん「今すぐ実行」の待機状態へ戻った
正常に完了しなかった処理
  • 復元画面に最新の履歴が表示されなかった
  • 復元画面からファイルを選択できなかった
  • 実際の復元操作を行えなかった
  • 初回コピー完了状態が確定しなかった
  • 復元画面を開くとコピー処理が再開した
  • 変更していないファイルが再保存された
  • 保存先側のカタログが十分に更新されなかった

以上から、ファイル本体のコピー処理は行われているものの、復元用カタログまたは初回完了状態が正常に確定していないと考えられる状態でした。

7.本事例で特に注意すべき点

今回の現象で最も注意すべきなのは、ファイル履歴のメイン画面だけを見ると、正常に完了したように見えることです。

メイン画面では次の状態になりました。

1.ファイル履歴:オン

2.最終コピー日時:表示あり

3.保存先:正常に表示

4.操作表示:「今すぐ実行」

5.明確なエラー:なし

しかし、実際に復元画面を開くと、初回のファイルコピーが完了していないと表示され、保存されたファイルへアクセスできませんでした。

バックアップは、ファイルが保存先へ存在することだけでなく、必要なときに履歴を選択し、実際に復元できることまで確認して初めて有効と判断できます。

「オン」という表示や最終コピー日時だけでは、復元可能なバックアップが完成しているかを判断できない場合があります。

8.利用者が確認しておきたいこと

ファイル履歴を利用している場合は、定期的に次の項目を確認することをおすすめします。

画面の状態
  1. ファイル履歴が「オン」と表示されているか
  2. 最終コピー日時が直近の日付になっているか
  3. 保存先ドライブが正常に表示されているか
  4. 保存先に十分な空き容量があるか
  5. 警告やエラーが表示されていないか
復元機能の状態
  1. 「個人用ファイルの復元」を開けるか
  2. 最新の日付の履歴が表示されるか
  3. 複数の履歴世代を移動できるか
  4. バックアップ対象のファイルが表示されるか
  5. 少数のテストファイルを別の場所へ復元できるか
  6. 復元したファイルを正常に開けるか

確認のために復元する場合は、元のファイルを上書きしないよう、別のフォルダーへ復元する方法が安全です。

9.同様の現象を確認した場合の注意

同じような状態を確認しても、直ちに設定や履歴を削除することはおすすめしません。

特に、原因が分からない段階では、次の操作を慎重に判断する必要があります。

  • 保存先ドライブの初期化
  • 既存のFileHistoryフォルダーの削除
  • ユーザープロファイル内の構成ファイルの削除
  • 保存先の再選択
  • ファイル履歴のオンとオフの反復
  • 「今すぐ実行」の繰り返し
  • 更新プログラムの削除
  • Windowsの再インストール

保存先の初期化や構成の削除を行うと、それまでの履歴を利用できなくなる可能性があります。

最初に行うべきことは、ファイル履歴の修復ではなく、現在の重要なファイルを別の媒体または別の承認済み方式で保全することです。

10.現時点での考察

今回の再試験では、保存先ドライブを初期化し、従来のファイル履歴構成を引き継がない状態でも、同じ現象を確認しました。

そのため、少なくとも今回の環境では、次の要因だけでは説明できませんでした。

  • 保存先ドライブの空き容量不足
  • 保存先ドライブ上に残った旧履歴
  • 旧カタログの単純な破損
  • 大容量フォルダーの存在
  • 使用中のOutlookデータファイル
  • 明示的なESENTエラー
  • 基本的なWindowsシステムファイルの破損

一方で、今回のPCはWindows 10からWindows 11へアップグレードした環境です。

Windows 11を新規インストールした環境との比較は行っていないため、Windows 10から引き継がれた設定等が影響している可能性は残ります。

また、本検証だけを根拠として、KB5120998が現象の直接的な原因であるとは断定できません。

現時点では、次の処理に関係する問題の可能性を考えています。

  • ファイル履歴の初回完了判定
  • 復元用カタログの確定処理
  • ユーザープロファイル側で作成された構成の保存先への反映
  • 保存先側カタログの更新
  • Windows 10から引き継がれた環境との整合性

これらは、利用者側の画面確認だけでは最終的に特定できません。

11.まとめ

Windows 11 Pro バージョン25H2、OSビルド26200.9278の環境で、ファイル履歴を完全な新規構成として設定しましたが、次の状態を確認しました。

  • 保存先ドライブは正常
  • 保存先の空き容量も十分
  • ファイル本体は保存される
  • 最終コピー日時も表示される
  • メイン画面はいったん待機状態へ戻る
  • しかし復元画面では初回コピー中と表示される
  • 履歴を閲覧できない
  • ファイルを復元できない
  • 変更していないファイルが再保存される
  • 保存先側カタログの更新が進まない

今回の事例から、ファイル履歴の正常性を確認する際は、「オン」の表示や最終コピー日時だけでなく、復元画面へ最新の履歴が表示され、実際にファイルを復元できるかを確認することが重要だと分かりました。

バックアップが必要になるのは、元のファイルを失った後です。

必要になった時点で初めて復元できないことに気づく事態を避けるため、定期的な復元確認と、ファイル履歴だけに依存しない複数の保全手段を用意することをおすすめします。

Microsoftへの確認希望事項

今回の現象について、次の点が確認されることを期待します。

  • File Historyのカタログ確定処理
  • 初回コピーの完了判定
  • メイン画面の最終コピー日時と実際の復元可能状態との整合性
  • ユーザープロファイル側から保存先側への構成反映
  • 保存先側の Catalog1.edb が更新されない条件
  • 変更していないファイルが再保存される条件
  • Windows 10からWindows 11へアップグレードした環境との関連性
  • 初回処理が一定時間以上完了しない場合の警告表示

免責事項

本記事は、2026年8月27日に筆者の環境で確認した現象と調査経過を記録したものです。

すべてのWindows 11環境で同じ問題が発生することや、特定の更新プログラムが単独の原因であることを示すものではありません。

保存先ドライブの初期化、ファイル履歴構成の削除、更新プログラムの削除、Windowsの再インストールなどを行うと、既存の履歴やデータを失う可能性があります。操作を行う場合は、事前に重要なデータを別の媒体へ保全し、ご自身の環境と管理方針に沿って慎重に判断してください。